1. 給与計算代行サービス
  2. 給与計算の業務委託先

給与計算業務の基礎知識

給与計算の業務委託先

1.給与計算の委託先

 給与計算の外部委託先については、大きく分けると以下のようになります。

①税理士
②社会保険労務士
③給与計算代行のアウトソーシング会社

受託人数の規模

特徴

①税理士

数名から10名程度

本来の税理士業務ではないため、あくまでも顧問客へのサービス的な対応が多い

②社会保険労務士

10名くらいから
1000名未満程度

保険手続きの専門家であるため正確な社会保険料の計算、勤怠計算を得意とする。

③給与計算代行のアウトソーシング会社

1000名以上程度

各社に適した給与計算システムを組み、大量の給与計算を短時間で行なう。


①税理士

 税理士が月額顧問サービスの一環として、無料または低コストで給与計算を代行するケースも見られます。一般的には従業員が1~2名程度である設立直後のベンチャー企業などが多く、従業員が少なく、皆気心が知れた者同士で厳格な勤怠集計が必要ない場合に適しています。

 よく「給与計算は、税理士と社会保険労務士のどちらに依頼したらよいのか?」という質問を頂きますが、そもそも税理士は税金の計算が専門であり源泉税の専門家です。一方、社会保険労務士は残業管理や勤怠の集計など労務管理の専門家であり、お互いの専門性が違います。

 給与計算自体は法律上、この資格を持っていなければできないというルールはなく、誰でも代行することが可能です。そのため、給与計算のサービスに何を求めるかにより依頼先は異なり、コストを抑えたい、少人数でサービスを受けたい、ベンチャー企業などで経営者と従業員の一体感があり、給与額に多少の誤差が生じても問題がない場合などは税理士の方が適しているといえます。

 一方、ある程度の従業員数がおり、正確な労働時間の把握による残業代の算出、勤怠の集計などをきっちりと行いたい場合、それに給与の支給額や控除額のミスが発生すると従業員の雇用企業に対する信用が低下するような場合には社会保険労務士の方が適しているといえます。


②社会保険労務士

 会社の規模が十数人~数百人の場合、あるいは、少人数であっても保険料や残業代の正確さを求めたいという場合には社会保険労務士への委託をおすすめします。
社会保険労務士は国家資格を有する保険手続の専門家で、官公署に提出する各種手続きを顧客の代理として行うことが可能です。保険手続きと給与計算は密接に関連しているため、給与計算業務も代行しています。

 給与計算業務において最も注意が必要なのが、社会保険料の計算、および労働時間等の計算ですが、これらを専門領域としているのが社会保険労務士です。

勤怠集計面においても、残業時間(法定内・法定外)のカウント方法、変形労働時間制の残業集計、残業代単価と月平均所定労働時間数の計算方法、所定休日と法定休日の取扱い、振休と代休の取扱いなど、社会保険労務士でなければなかなか正確に計算できない点が多々あります。 また、労働保険・社会保険の手続き面についても、従業員数が増えれば入退社時の手続き以外にも様々な手続きが発生しますので、給与計算と併せて社労士に委託するのがおすすめです。

③給与計算代行会社

 千人規模の会社になれば、パッケージよりも独自の給与システムを構築するのが一般的には適切と考えられています。給与計算代行会社では各社に適した給与計算システムを組み、大量の給与計算を短時間で行ないます。委託費用も通常は毎月数十万~数百万円となり、定まった期間内に一度に大量の処理を行わなければならないような企業に向いています。

 ただし、給与計算代行会社は、素人同然のようなアルバイトスタッフをマニュアル教育によって大量動員する手法をとることが多々あり、実務能力面においては疑問を抱かざるをえない企業も実在しますので、業者の選択には注意が必要です。 なお、アウトソーシング会社が労働保険・社会保険の手続きを代行すれば違法となります。

2.業務委託先としての社会保険労務士

①専門性

 お医者さんでも内科、外科、眼科と専門があるように、社会保険労務士でも事務所により専門性があります。大きく分けるとコンサルティング系とアウトソーシング系、または両社の併用の3種類に分かれます。コンサルティング系は少人数で行っていることが多く、すでに発生してしまった労務トラブルの解決や人事制度の構築などを専門的に扱っています。一方、アウトソーシング系は給与計算や保険手続を専門とし、法的アドバイスなどによる危険予防をメインとしています。

 コンサルティング系の社会保険労務士の場合には、その分野におけるノウハウや経験が強く求められますが、業務効率の点から給与計算業務を受け付けていないこともあります。一方、アウトソーシング系の業務は定まった期限までに正確な業務を行わなければならず、どうしてもマンパワーが必要となります。結果としてチームで仕事をすることが多くなり、社会保険労務士や従業員が数名いることが一般的です。

 給与計算の委託先を選定する際には、その事務所の専門性を見ることも重要です。

②個人事務所か法人か

 社会保険労務士の事務所形態として、個人事務所と法人の2種類があります。個人事務所の場合には社会保険労務士が1人とアシスタントが数名で業務対応することが多く、顧客と社会保険労務士との距離が近いことがメリットの一つです。しかし、社会保険労務士1人のキャパシティがそのまま業務受注可能量となるため、忙しくなるとレスポンスが悪くなることもあります。また、事故や病気などにより業務に就けなくなると、依頼していた給与計算業務が滞ることもあります。

 一方、法人の場合には数名の社会保険労務士が在勤しており、チームを組んで業務対応することが多く、一定品質のサービスを継続的に提供できる点がメリットの一つです。しかし、担当する社会保険労務士が数年で交代することもあり、また、実際は1名で運営していても“法人”を名乗っている事務所もあります。

 業務委託先を選定する際には、事務所を訪問して実際に自分の目で確認することが重要です。

メリット

デメリット

個人事務所

・社会保険労務士との距離が近い
・個人的な関係が築ける

・業務のキャパシティが少ない
・引継ぎ、打ち切りリスク

社会保険労務士法人

・安定したサービス品質
・チーム対応

・担当者の交代
・実際は個人と変わらない可能性


3.委託先決定時のポイント

①目的の明確化

 「何のために給与計算業務を外部に委託するのか?」、その目的を明確にしておくと委託先の選定が明確になります。

●よくある委託理由
・人件費、コストを削減したい
・前任者が退職してしまい給与計算業務に対応できない
・正確な給与計算業務を実施してもらいたい
・労働生産性を上げるために、本業に専念したい
・担当者が交代しても給与計算が滞ることが無いようにしたい
・給与計算業務を通した勤怠情報などから、危険予防のアドバイスをもらいたい

②実績があるか

 当然ですが、給与計算業務における実績は非常に重要です。特に自社と同レベルの実績があるかないかを確認した方がよいでしょう。

●実績の確認ポイント
・給与計算業務で対応可能な従業員数
・自社と同等レベルの会社が依頼しているか
・業務は正確か
・納期等の期日は守れているか
・他社の事例は豊富にあるか
・開業(設立)してからの年数
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